2018年08月12日

エンジニアなら知っておきたい損益分岐点の話

損益分岐点の求め方と、その仕組みについて腑に落ちない部分があったので、自分なりに咀嚼してまとめました。
ポイントは、グラフ上で売上と費用の変動費が重なるように描くことで、視覚的に分かり易くしたところです。


売上高について

売上高は次の式で求められます。
単価が一定なら販売数量に比例して売上高も増減します。

売上高=単価×販売数量

売上高から費用を引けば利益が求まりますので、売上高は次のようにも表せます。

売上高=費用+利益

費用のうち、売上に比例して額が増えるものを変動費と言います。例えば材料費などが該当します。
(あくまでも売上高に含まれる額のみです。在庫の額は含みません。)
売上高のうち、変動費の占める割合を変動費率といいます。この比率は一定であると考えます。
売上高から変動費を差し引いた額を限界利益といいます。
また売上高に対するその割合を限界利益率といいます。
限界利益は変動費に反比例しますので、限界利益率も一定と考えます。
(限界利益の構造は「限界利益=固定費+利益」という式で表せます。固定費については後述。)
(限界利益の事を貢献利益ともいいます。)

費用について

売上高のグラフからはいったん離れて、次は費用について見ていきます。
費用は次のように表せます。

費用=固定費+変動費

変動費は前述したとおり、売上高に比例して額が変動する費用です。
一方、固定費とはテナントの賃借料や保険料のように売上高とは関係なく、期間内に必ず発生する費用のことです。
ところで、上のグラフでは下に固定費、上に変動費が描かれていますが、これを入れ替えてみます。
グラフの描き方を変えただけなので、値そのものは変わりません。

損益分岐点

さて、ここからが本題です。
売上高のグラフと、費用のグラフを重ね合わせます。
そうすると、変動費の部分がぴったりと一致します。
そして、売上高の線と、費用の線が交差する点が浮かび上がってきます。
この部分を損益分岐点売上高、または単に損益分岐点と言います。単位は金額です。
損益分岐点は費用と売上がトントンの状態、すなわち「赤字は出てないけど、利益もゼロ」の状態です。
ここが、利益が出るか、赤字になるかの境目になります。

次のグラフで言うと、損益分岐点より右側は費用より売上が多くなっていますので、その分の差額が利益となります。
反対に、損益分岐点より左側は、費用より売上が下回っていますから、赤字(損失)となります。
では、具体的に損益分岐点を算出するにはどうしたらよいでしょうか?
グレーの矢印の高さを求めることになります。
それを求めるには、冒頭で説明した限界利益が登場します。
グラフに限界利益を重ね合わせます(下図斜線部分)。
そうすると、損益分岐点において、固定費と限界利益の額が一致することが分かります。(下図赤線部分)
限界利益はそのときの売上高に限界利益率をかけると求められます。
また、ここでは売上高は損益分岐点ですので次の式が成り立ちます。

固定費=損益分岐点×限界利益率

式を変形すると

損益分岐点=固定費÷限界利益率

となります。
これでめでたく損益分岐点の式が求められました。
posted by Hiro at 13:34| Comment(0) | 簿記会計

2018年07月10日

ビジネス会計検定2級・キャッシュ・フロー計算書


I 営業活動によるキャッシュ・フローの区分
(A)税金等調整前当期純利益
連結損益計算書の税金等調整前当期純利益からスタートします。

(B)現金及び現金同等物の変動を伴わない項目
減価償却のように損益計算では減算するが、実際には支出のないものを加算します。
一方、損益計算で加算するものは減算します。

損益計算書/貸借対照表
(税金等調整前当期純利益から)
加算 or 減算
減価償却費加算
減損損失加算
のれん償却額加算
持分法による投資利益減算
持分法による投資損失加算
貸倒引当金の増加額(貸倒引当金繰入)加算
貸倒引当金の減少額(貸倒引当金戻入)減算

(C)投資活動および財務活動に関連する項目
(営業活動とは関係ない項目に関して)損益計算で加算される収益は減算し、減算される費用は加算します。

損益計算書の○○を
(税金等調整前当期純利益から)
加算 or 減算
営業外収益受取利息減算
受取配当金減算
為替差益減算
営業外費用支払利息加算
為替差損加算
特別利益投資有価証券売却益
減算
有形固定資産売却益
減算
特別損失投資有価証券売却損加算
有形固定資産売却損加算
損害賠償損失加算

(D)営業活動に係る資産および負債の増減額
売掛金が増えた場合、売上代金が回収されていない売上高があるということですので、その分を減算します。
一方、買掛金が増えた場合は支払い前ということで、キャッシュの流出がない分を加算します。
棚卸資産が増えた場合、そのキャッシュの流出分を減算します。
貸借対照表の○○が
増加 or 減少
(税金等調整前当期純利益から)
加算 or 減算
資産売上債権の増加減算
売上債権の減少加算
棚卸資産の増加減算
棚卸資産の減少加算
債権仕入債務の増加加算
仕入債務の減少減算

(E)小計:これまでの営業活動による現金同等物の増減額。
(F)投資活動および財務活動以外の活動による現金及び現金同等物の増減額
他に記載する区分がないため、営業活動のCFの末尾に記載されます。
実際の○○額を
(税金等調整前当期純利益から)
加算 or 減算
利息及び配当金の受取額加算
利息の支払額減算
損害賠償金の支払額減算
法人税等の支払額減算
(G)営業活動によるキャッシュ・フローを表示します。

II 投資活動によるキャッシュ・フローの区分
(J)投資活動に伴う収入と支出の差額を表示します。
証券投資有価証券の売却による収入加算
有価証券の取得による支出減算
投資有価証券の売却による収入加算
投資有価証券の取得による支出減算
設備投資有形固定資産の売却による収入加算
有形固定資産の取得による支出減算
融資貸付金の回収による収入加算
貸付けによる支出減算
その他連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入加算
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出減算

III 財務活動によるキャッシュ・フローの区分
(M)財務活動に伴う収入と支出の差額を表示します。
負債短期借入れによる収入加算
短期借入金の返済による支出減算
長期借入れによる収入加算
長期借入金の返済による支出減算
社債の発行による収入加算
社債の償還による支出減算
株主資本株式の発行による収入加算
自己株式の取得による支出減算
配当金の支払額減算
非支配株主への配当金の支払額減算
posted by Hiro at 00:45| Comment(0) | 簿記会計

2017年08月08日

ビジネス会計検定2級・財務諸表分析

■ 安全性の分析
■ 短期の安全性分析

流動比率流動資産×100(%)
流動負債

正味運転資金 = 流動資産 − 流動負債

当座比率当座資産×100(%)
流動負債

※当座資産=現金及び預金+受取手形+売掛金+(流動資産に記載されている)有価証券

手元流動性(手元資金) = 現金及び預金+(流動資産に記載されている)有価証券

手元流動性比率手元流動性(月)
売上高÷12

ネットキャッシュ = 手元流動性 − 有利子負債

有利子負債 = 短期借入金+長期借入金+リース債務(流動・固定)+社債

長期の安全性分析

固定比率固定資産×100(%)
純資産

固定長期適合率固定資産×100(%)
純資産+固定負債

※固定比率、固定長期適合率は低いほど良い。

負債比率(D/Eレシオ)負債×100(%)
純資産

自己資本比率自己資本(=純資産)×100(%)
負債純資産合計

インタレスト・カバレッジ・レシオ事業利益(倍)
支払利息・社債利息等

事業利益 = 営業利益+受取利息・有価証券利息・受取配当金+持分法による投資利益


■ 収益性の分析

資本利益率利益×100(%)
投下資本

投下資本利益収益性の分析指標
総資本(総資産)経常利益総資本経常利益率
事業利益総資本事業利益率
経営資本営業利益経営資本営業利益率
自己資本(純資産)当期純利益
自己資本当期純利益率

※経営資本 = 総資本−(投資その他の資産+建設仮勘定+繰延資産)

資本利益率利益利益×売上高
投下資本 売上高 投下資本
      ↑
    売上高利益率× 資本回転率

売上高○○利益率○○利益×100(%)
売上高

○○利益:売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益

総資本回転率売上高(回)
総資本

資本回転期間 = 12 ÷ 資本回転率(月)

売上債権回転率
売上高(回)
売上債権

売上債権回転期間 = 365 ÷ 売上債権回転率(日)

※売上債権=受取手形+売掛金

棚卸資産回転率
売上高(回)
棚卸資産

棚卸資産回転期間 = 365 ÷ 棚卸資産回転率(日)

仕入債務回転率
売上高(回)
仕入債務

仕入債務回転期間 = 365 ÷ 仕入債務回転率(日)

キャッシュ・コンバージョン・サイクル = 売上債権回転期間+棚卸資産回転期間−仕入債務回転期間

財務レバレッジ総資本×100(%)
自己資本
※自己資本比率の逆数

■ キャッシュ・フロー(CF)の分析
フリーキャッシュフロー = 営業CF+投資CF

営業CFマージン営業CF×100(%)
売上高

自己資本営業CF比率営業CF×100(%)
自己資本(=純資産)

営業CF対流動負債比率営業CF×100(%)
流動負債

設備投資額対CF比率設備投資額×100(%)
営業CF
設備投資額=有形固定資産の取得による支出 − 有形固定資産の売却による収入
posted by Hiro at 14:47| Comment(0) | 簿記会計